IFCA のビジョン
インターナショナル・フォスターケア・アライアンスは、すべての子どもと若者が愛され、支えられ、自身の可能性を最大限に発揮できる社会の実現を目指します。
IFCA のミッション
国を超えた、多様な考えの交流、協働、つながりづくりを通じて、子ども家庭福祉のシステムを前進させることです。
みなさんは「社会的養護」という言葉を聞いたことがありますか。
日本には、さまざまな家庭の事情から、生みの親と暮らすことができない子どもたちが4万5千人います。そういった子どもたちを、公的な責任で保護・養育するしくみのことを「社会的養護」と呼びます。社会が「親代わり」をするという意味です。
IFCAは、3つの事業 を通して、社会的養護の改革を目指し活動するNPO法人です。
ユース
(社会的養護の当事者)
現状と問題点
毎年、2千人あまりの若者たちが、高校を卒業し施設や里親家庭を離れて自立します。
IFCAが目指す世界
私たちは、移行期の若者たち(IFCAでは「フォスターユース」または「ユース」と呼びます)が孤立することなく、仲間と一緒に活動できる場所をつくりたい。かれらが大人になるための大切なスキルを学び世界的な視野を持って生きるための機会を与えたいと考えました。
取り組んでいること
IFCAは2013年に、日本とアメリカにフォスターユースのグループを結成し、かれらがお互いの国を訪ねて交流できるプログラムを立ち上げました。それ以来、日米のユースたちは一年をつうじて、自分の声を社会に向かって発信するさまざまな活動を続けています。
今までの成果
2013年から2020年の7年間で、IFCAユースたちは
IFCAユースたちの活動がもとになり、日本で「ユースボイスの重要性、当事者のストーリーが社会に与える影響力」が理解されるようになりました。
ケアギバー
(子どもの日々のケアにあたる人たち)
現状と問題点
社会的養護のもとに身を置く子どもたちの8割が、施設での生活を強いられています。他の先進国と比べると、施設養育の利用率は非常に高く、日本はこれから里親の数を増やして、子どもを里親家庭などの家庭的な環境に移さなければなりません。
IFCA が目指す世界
私たちは、地域の里親同士が連携し、安心して子どもたちを養育できる環境をつくりたい、と考えました。
取り組んでいること
IFCAは、新しい里親家族支援の仕組みを日本に築くために、“モッキンバード・ファミリー™”というプログラムの導入を始めました。これは、地域のベテランの里親家庭とその家庭につながる6~10家庭を一つのグループとし、その中で交流や子どものレスパイトを行い、それを児童相談所などの公的機関が支えるという仕組みです。
今までの成果
現在、国内のいくつかの地域でモッキンバード・ファミリー™のパイロット・プロジェクトが始まりました。養育不調を防ぎ「ひきこもり」などの子どもの症状を改善するなど、効果がすでに上がっています。
プロフェッショナル
(児童福祉の専門職)
現状と問題点
虐待を受けた子どもの約4割がPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発病するというデータがあります。虐待の社会的コストは1兆6千億円と言われ、トラウマを受けた子どもの治療は国全体の課題です。
IFCAが目指す世界
私たちは、こういった子どもたちが一人でも多く回復に向かうにはどうしたらよいか。日本の子どもたちが効果的なトラウマ治療受ける方法について考えました。
取り組んでいること
トラウマフォーカスト認知行動療法(TF-CBT)はアメリカで開発され、臨床実験でその成果が認められた、3歳から18歳までの子どもと保護者のための画期的なトラウマ治療法です。IFCAは、TFーCBTを日本に導入し広める取り組みをしています。
今までの成果
2012年から2018年の6年間に、アメリカから3名の専門トレーナーを日本に招き、6つの都市で400人の臨床心理士など、メンタルヘルスの専門職を対象にTF-CBT入門トレーニングを開催しました。 現在、多くの人たちがTF-CBTを初歩から学べる環境をつくるために、マニュアルの出版などを予定しています。
IFCA のプログラム利用者の声
IFCAとつながり、実際に活動に参加された方々からの感想をご紹介いたします。
社会的養護のもとに育った子ども時代の記憶は、いつも明るいものではなく、それは自分のせいでそうなったと考えていました。IFCA はそんな私に、自分のストーリーを語る勇気を与えてくれました。自分の経験を語れば語るほど、自分の人生を受け入れることができるようになり、自信がつきました。IFCA は私に、心地良い、特別な場所を与えてくれます。私は日本とアメリカのチームメートたちを自分の家族のように感じています。
インターナショナル・フォスターケア・アライアンス [IFCA] の、子どもたちに家庭的な養護を与えようとする努力に心を打たれています。このNPOの提供するプログラムは、どれも文化的な要素を配慮しているだけでなく、日本への導入が急がれる実践ばかりです。モッキンバードファミリーモデルが日本の地で根を伸ばせば、今まで支援の手の届かなかった子どもや養育者を救う重要な役目を果たしてゆくに違いないと確信します。
モニカ・フィッツジェラルド先生の講義を受ける前、正直言って私は路頭に迷っていました。深刻なPTSDの症状を抱えた子どもを連れて、藁をもつかむような思いで私の診療所にくる保護者に対応する術がなく、ほとほと困っていました。でもこれからは、TF-CBTの確実な9ステップ治療法をつかって、私だけでなく、日本のたくさんの臨床心理士が、大切なクライアントとしっかり向き合うことができる、と思います。
モッキンバード・ファミリーと出会い5年、地域の取組みの中で見えたこと
●回を重ねる毎に、各家庭の全体像が見えてくる
●家族構成、里親子の性格等を把握しているので、里親の悩みを共感できる
●仲間意識が高まって来た
●里親だけの集まりという開放感から話しやすい
●会場が里親家庭の生活の場であり、和やかな雰囲気の中、自然体で話せる
IFCAが私たちに安全な場を与えてくれたので、ユースだけでなく、専門職の人たち、施設や里親家庭で日々、子どもたちのケアにあたっている人たちと、自由に交流することができました。そして、このプログラムは『困難に打ち勝ち、精神的にも社会的にも成長して、夢をあきらめずに生きる』という私の個人的な課題に真正面から向き合う機会を与えてくれました。
モニカ先生のエネルギーと、心根のよさ、そして群を抜いた臨床スキルと指導の仕方に圧倒されました。日本から一歩も出ることなく、こんなに素晴らしいトレーナーから最先端のトラウマ治療法を受けられることは、ほんとうに幸運です。