インターナショナル・フォスターケア・アライアンス

トラウマフォーカスト認知行動療法とは?

トラウマフォーカスト認知行動療法は、認知行動療法、アタッチメント療法、ファミリーセラピーなどのあらゆる方法を組み合わせて、3歳から18歳までの児童とその保護者のために考案された。 TF-CBTの治療は、9つのステップに分けられている。
  1. トラウマの原因となった出来事の後、子どもと保護者は取り残されたような孤独感に襲われる。セラピストはまず、彼らにトラウマの基本的な知識を与える。統計的に、どのくらいの数の子どもたちが、何が原因でトラウマの症状を抱えているのか。そして、その治療とはどんなものなのかを説明する。このサイコエデュケーションという最初の重要なステップでは、セラピストが子どもたちの顔をしっかり見据えながら話すことが重要だ。トラウマの事象に関しては、「不幸なこと」などという曖昧な言葉ではなく、「父親の死」「ドメスティック・バイオレンス」など、はっきりとした名称を使って子どもと保護者に説明する。性虐待について話す時は、医師の使う正確な身体の部位の名前を使う。PTSDの治療の最も一般的な方法のひとつに、『エクスポージャー法』がある。エクスポージャーとは、「望ましくない反応を引き起こしている刺激状況に、その反応が生じなくなるまで“さらす”こと」をいう。TF-SBTでは、治療の最初の段階で、セラピストが子どもたちとのトラウマに関するストレートな対話の中に、このエクスポージャー法をつかっているのだ。(Psychoeducation)
  2. TF-CBTが他のトラウマの治療法と違っているひとつの特徴として、保護者の参加がある。子どもと日々接している親や里親は、子どもの回復の原動力になるからだ。セラピストは保護者と会い、子どものトラウマの症状、感情や行動のみだれにどうやって対応したらよいか、指導していく。 (Parenting Skills)
  3. 子どもはトラウマの後、神経系に支障をきたし、アレルギーや頭痛などの病状をうったえることがある。リラクセーションは、トラウマの治療に効果的なことはすでにわかっている。保護者は子どもたちのために、リラクセーション・プランをたてる。一日の中でわずかな時間でも、何か一緒にできること、例えば、音楽、ダンス、スポーツ、など。自己を癒すテクニックを親子ともども身につける。(Relaxation)
  4. 子どもの感情の表現は、TF-CBTの中でも、もっとも重要なポイントである。セラピストは、ゲームやお絵描きなど、たくさんのテクニックをつかいながら、子どもの自由な感情表現を促していく。表現が始まった段階で、セラピストは子どもたちにトラウマによる破滅的な記憶や感情をどうやって整理していくかを教える。(Affective Modulation)
  5. セラピストは、子どもたちに心の中で感じたことが自分の行動とどんなふうにつながっているのかを探らせる。誤ったものの見方、例えば「性虐待が起こったのは自分が原因」といったゆがんだものの考え方を修正してゆく。(Cognitive Coping)
  6. 次に、子どもたちは、自分のトラウマの出来事に関する本を作る。これがトラウマ・ナレティブという方法だ。セラピストは数回のセッションにわたって、子どもたちの体験を記録する作業を支える。例えば章立ては、こんなふうになる。第1章:トラウマが起きるまでの僕のおいたち 第章:トラウマが起きた時 第3章:トラウマのあと、僕がどんなふうにかわったか風に変わったか 第4章:おんなじようなトラウマを受けた子どもたちに僕が伝えたいこと(Trauma Narrative & Cognitive Processing)
  7. トラウマを経験した子どもたちにとって、トラウマの事象が起こった場所や環境に再度自分をさらすことはとても難しい。だが、トラウマ治療の方法は一般的にも、トラウマの起きた場所や事象へ、徐々に自分を慣らしていくことに有る。例えば、学校で暴行の被害にあった子どもは、徐々に学校にいる時間を長くすることによって、最終的には平穏な気持ちで登校できるようにすることが目的だ。(In Vivo Mastery of Trauma Reminders)
  8. そして子どもたちは、親、または里親と一緒にセラピーに参加する。子どもたちは、自分らのトラウマの“ナレティブ”を保護者に読んで聞かせる。今まで子どもたちとは別にセラピーを受けてきた保護者は、セラピストから学び取ったテクニックを使って、子どもたちの体験、感情を受け止めてあげる。施設にいる子どもたちは、施設の職員など、自分にとって、大切な大人に”ナレティブ“を読み聞かす。(Conjoint Child-Parent Sessions)
  9. そして、最後に子どもたちと保護者は、今後の安全への計画をしっかりと立てる。(Enhancing Safety and Future Developmental Trajectory)
(IFCA編集部)